シンガポールイノベーション日記

40歳で脱サラした元SEの日記

シンガポール競馬場で馬券を買ってみる

マレーシアとの国境の近くに、シンガポール唯一の公営競馬場があります。

 

私は春秋には必ず府中動物園に行くほどの動物好き。これは行かざるをえません。

動物好きのみなさまにチケットの買い方をお伝えします。

 

まずは公式Webサイトで開催日を確認します。

Singapore Turf Club

 

RACING >> Racing Calender & Fixtures >> Singapore Racing Fixtures を開きます。
(分かりづらい)

開催日はほぼ毎週の金曜日と日曜日。金曜日は夕方18時~22時半頃までのナイトレース、日曜日は13時頃~18時頃まで開催されます。レースの開催時間と出馬表は RACING >> RACE CARDSで確認できます。

 

シンガポールにはいくつか場外馬券場もありますが、目指すはやっぱり「クランジ競馬場」です。MRTのNorth South Lineに乗りKranji駅で下車します。

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都心からは1時間弱

Kranji駅の改札を出て、案内表示に従って右手に進みます。

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キタキタキマシタヨ

するとすぐに入場門に到着します。

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そこにはSingapore Turf Clubの文字が!!

入場ゲートはなんとMRTと共通のez-linkカードのタッチ式!

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まるで駅のような入場口

ez-linkカードで入場するとS$6(約480円)、現金でチケットを買うとS$8(約640円)です。外国人旅行者向けにはS$30(約2400円)のラウンジ席も用意されています。一般席はドレスコード無しですが、ラウンジ席などはスマートカジュアルになります。

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この青いカードの絵のところにez-linkカードをかざします

ちなみにこの日は金曜日だったので、お客さんはほぼ現地民。みなさん全員がez-linkカードで入場していきます。


入場すると、いわゆる競馬新聞屋さんを発見。新聞ちょーだい、と言うと「シンガポールのはコレ!」と英語版の冊子を渡されました。お値段S$5(約400円)

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これがシンガポールの競馬新聞だっ!(実は期待はずれ)

日本の競馬新聞と言えば、予想オッズと、記者の予想や厩舎のコメントが満載なのですが、こちらの新聞はいわゆるレーシングプログラムと一緒。各馬の過去の戦績を中心に馬の情報だけが淡々と記載されています。これならWebサイトからダウンロードできるので、あまり買う必要はなさそうです。

 

入口から徒歩2分ほどでメインの建物に到着します。中は日本の競馬場とまったく一緒(笑

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ここは府中かな?

思った以上におじさんの聖地です。人数比は中華系が8割、マレー系が2割といったところ。外国人はまったく見かけません。男女比は9:1、年齢層も平均年齢が50~60歳ぐらいです。若い女性なんて片手で数えられるぐらいしかいません。たぶん日本人は私のみ。

 

場内は室内禁煙・屋外喫煙可という状況。中央の馬道(後述)を隔てて奥側は比較的喫煙者が少ないのですが、それでも十分に副流煙を浴びてしまいます。これはちょっとキツい。

 

煙にめげずにパドックに向かいます。こちらではパドックのことを「パレードリング」と呼ぶようですが、慣れているパドックという名前で説明します。

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パドックはひろびろ 周りに馬房が並んでいます

こちらのパドックも色々と日本とは異なります。日本ではレース発走30分前に馬が入場し、しばしグルグルとパドックを回って、「止ま~れ~」の合図で馬を停止してジョッキーが騎乗。最後に1周歩いて、トンネルを通って本馬場入場となります。

 

シンガポールでは、前のレースの馬たちが本馬場に向かった後、次のレースの馬たちがバラバラとパドックに入場してきます。パドックの周囲には扇状に馬房が並んでおり、まずはそこで鞍が装着されます。それからは適当にパドックを歩いたり、馬房でひと休憩したりしています。1回のレースに出走する馬の数は10~12頭程度。(いわゆる重賞は14頭ぐらいになります)

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先導馬が出てくると隊列になります

そしてレース発走15分前になると、やっと全馬が馬房から出てきて馬番順になって歩き始めます。ジリリリリとベルが鳴ると、馬が歩いているところにジョッキーが飛び乗り、そのまま本馬場に向かいます。この間だいたい2~3周。そしてすぐにレースが始まるので、ゆっくり馬を見て馬券を考える時間はありません。

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歩いている馬に飛び乗るジョッキーたち

本馬場に向かう通路は観客席の中にあり、馬が通る時だけ観客席の通路が閉鎖され、観客のすぐ横を馬が通ります。この距離感の近さはシンガポールならでは。オッサンのヤジに怯える馬もいたりします。

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手を伸ばせば届きそうな距離感

そしていよいよメインコースへ。雰囲気はそのまんま大井競馬場です笑

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TCK(東京シティ競馬)の雰囲気とそっくり!

コースの1周が1500mほどなので、1800mのレースでも観客席前からのスタートになります。またレース自体も1000m~1200mのレースがほとんどで、短距離勝負です。ただし最後の直線はかなり長めに設定されています。

 

発走時刻になると、ファンファーレも何もなく、淡々とゲートインが始まります。
そして準備が整うと、あっさりゲートが開いてレース開始です。

 

場内ディスプレイでは3D映像を使って上空から見た各馬の位置取りを再現しています。これはまるでゲームセンターのよう。そして最後の直線に差しかかると、観客席のオッサンたちから熱いヤジが飛びます。これは万国共通。ただしヤジはすべて中国語です!

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迫力のあるレースを間近で見ることができます

そしてゴール! 着順が明確な場合はすぐその場で着順が表示されます。
1~2分後には払い戻し金が確定します。

 

負けた馬はすぐに鞍をはずされ、トボトボと馬房に戻っていきます。勝った馬だけがウィナーズサークルに通され、ジョッキーインタビューが行われます。この一連のレースの流れが30分サイクルで繰り返されます。(メインレース前は40分サイクルになったりします)

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左がこの日唯一日本から来ていた「マツリバヤシ」 みごと2着でした!

そして肝心な馬券の買い方。以下の種類があります。

 

WIN : Win : 単勝
PLA : Place : 複勝
W-P : Win & Place : 単勝複勝
FCT : Forecast : 馬連
PFT : Plase Forecast : ワイド
TCE : Tierce : 3連単
TRO : Trio : 3連複
QTT : Quartet : 4連単
QDO : Quadro : 4連複
QTT : Flexi Quartet : 4連単、総掛金を指定しそれに応じた額を払い戻し(要は少額Bet)

日本の馬単に該当する券種はありません。

 

場内では4種類のマークシートを見かけました。とは言え、使うのは赤色と黄色だけです。場内にもその2種類が大量に置かれています。

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赤色の単勝複勝マークシート

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黄色の馬連系シート

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緑色のフレキシブル4連単シート(フォーメーションでシート1枚あたりいくらと総額をBetします)

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この4Dシートだけは説明を読んでも買い方が分からず... Win5的なモノなのか...

※4Dはロト6的な宝くじらしく、場内のキオスクで買えるものの、競馬とは関係がないもののようです。

 

マークシートは黒のボールペンか鉛筆で横棒を引いていきます。光学読み取りらしく、赤のペンはダメらしいです。馬連を買う場合は、黄色の紙に以下の順でチェックしていきます。

Meeting : 競馬場。シンガポールはSIN。他にマカオと香港もあります。
Race : レース番号。書かないと直近のレースが自動的に指定されます。
Bettype : 買い方。どれかにマークを入れます。
1st or BOX : 1頭目を選択します。ボックス買いする時はこの欄に3頭以上マークを付け、他の欄にはマークをつけません。
2nd : 2頭目を選択します。3連複以上を買う場合は、同じように3rd、4thにもマークをつけます。
Units : 1点あたりの掛け金額をマークします。

 

このUnitsが要注意。これ、口数を表しています。単勝複勝は1口S$5、それ以外は1口S$2です。つまり馬連で1Units=S$2という意味です。S$10掛けたいからと、Units <10>にマークすると、実際にはS$20になります。キケンです。単勝マークシートにはちゃんとドル数も記載されているので間違いは無いと思います。

 

あと流しの馬連を買う場合は、1stに1頭、2ndに複数頭をマークします。フォーメーションは認識できないようです。あと投票総数を見るとほとんどが単勝複勝3連単や3連複はあまり人気がありません。

 

そしてもう1つ注意が必要なのがオッズ表示。パドック掲示板には各馬のオッズが表示されています。1番人気の馬はオッズがオレンジで表示されます。

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パドックのオッズ表示

ここで注意なのが、オッズには「1口の投票がいくらになるか」が表示されています。単勝複勝は1口S$5なので、例えば上の写真で2番の馬の場合、単勝はS$5がS$151、複勝がS$5がS$31になるという意味で、日本で言えば単勝30.2倍、複勝6.2倍という意味になります。これは当選金の場合も同じです。馬連や3連複は1口がS$2ですので、S$2がいくらになるか、という表示になります。 例えばFCT S$20と表示されていた場合、馬連で10倍の払い戻しという意味になります。

 

そしてマークシートを書いたらいよいよ購入です。
場内にはとても綺麗な自動購入キオスクマシンが整然と並んでいます!

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おぉ! 近代的! と思いきや...

...が、誰も使っていません。

99%の人が有人窓口で馬券を買っています。

 

このキオスクマシン、非接触式のカードで使う仕様です。サービスカウンターでカードをくれと言うと、居住者IDが無いと売れないと言われました。せっかくパスポートも持ってきたのに... カード自体は無料で、そのカードにクレジットカードなどでトップアップして使うようです。

 

一方の有人窓口。
マークシートと現金を渡すと、手慣れたおばちゃんが瞬時に発券してくれます。...こりゃキオスク使わないよね。テクノロジーが人類に負けた現場を体験できました。

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おばちゃん最強

と言うことでおばちゃんが発券してくれた勝馬投票券がこちら。
ぺらっぺらのレシートです。(ちょっと不安)

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馬連2-3、5口=S$10の馬券ですね、これ(もちろんハズれました)

そして運よく当たった場合、当選馬券を有人窓口に出すと、おばちゃんが素早く現金を渡してくれます。有人バンザイ。

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1番から7,8,10番に流しでS$10ずつ3点買い、S$165当選です!

当選馬券は払戻金を印字して返してくれます。これは地味に嬉しい。

 

場内にはフードコートも完備されており、価格もお手頃です。(チキンライスS$4)

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とっても清潔なフードコート

日本と違うのは酔っ払いオヤジが少ないこと。おじさんたちが集まって、ぜんざいやおせんべいを食べているのは微笑ましい風景です。もちろん缶ビールも置いてあります。お値段S$4~5。まぁまぁ良心的なお値段で、入口から遠い売店ほど安くなります。

 

競馬新聞を含め出走馬の情報が少ないので、日本の競馬に慣れている人にはちょっと馬券を買いづらいかもしれません。でも私のようなパドックを見て買うタイプの人は、出走頭数が少なくて予想しやすいので、楽しいと思います。

 

娯楽が少ないと言われるシンガポール、週末は競馬場で現地に溶け込んでみてはいかがでしょうか?